2007年03月27日

無心と慢心

室戸高校の勝利は、改めて野球の楽しさを
教えてくれるものだった。

余りの快挙に興奮して嬉しがってばかりいないで、
少しこの勝利の要因を探ってみた。

まずは何と言っても森沢の好投(捕手のリードも含めて)
初出場にも拘らずノーエラー
そして、ショート柳弘とライト中山の超ファインプレー
守備では文句のつけようが無い。
そして泉、松本のタイムリーで勝ち取っている。

しかし、これだけでは実力的に報徳に勝つのは難しい。
それ程の差が両校の間にはある。
故にこの勝利は”予想外”としたのである。

薄々感じてはいたのだが、確信が無かったので、相手に対し
失礼に当るかもしれないので、控えていたのだが、
26日の高知新聞に掲載されていたので構わないだろう。

この試合、室戸高校の誰もが(監督を含めて)
勝利に対しての欲が無かった。自分達の練習の成果、
憧れの甲子園で精一杯プレイする事、
勝利はその延長にあり負けたとしてもそれは
結果にしかすぎない。

これはスタンドに駆けつけた応援団にも言える事だろう。
初めての甲子園球場での室戸高校の応援、
2度目は無いと言う想い。それでも応援出来る嬉しさ。

此処にプレイする選手、応援する観客共に”無欲な心”
が生まれた。
結果それは、緊張やプレッシャーを産む事無く、
笑顔と溌剌としたプレイに繋がった。
全力を出し切った、どころかそれ以上の力を発揮した。

そして、それを助けたのが報徳である。
彼等は室戸高校を、なめて掛かっていた。
報徳永田監督のコメントに「おごりがあったのかもしれない」
とある。”あったのかもしれない”ではなく、
”あったはず”である、またそれは当然の事。

”慢心する”のは悪く、”自信を持つ”のは良いと言われる。
しかし”慢心”と”自信”とでは何処に差が有るのか。
若者にその答えを問うのは酷である。

それ故指導者は常に勝負に臨む時、その”慢心”を
戒める必要が有る。それを監督自らが”慢心”していては
足元を掬われる原因の一つとなろう。

まして相手は”無心”でぶつかって来た。

報徳近田投手のコメント「体力不足を痛感した」
NHKの解説者は言っていた、
「この冬場十分な走り込みで体力を付けている」と。
その体力を奪い、コントロールを乱した選手がいる。
この試合”無心”どころか、己を捨てチームプレーに徹した
室戸ラストバッター北岡である。

彼は憧れの甲子園で7回迄一度もバットを振っていない。


3打席とも四球を選び出塁、決勝得点のホームを踏んだ。
「近田投手を疲れさす為に、できるだけ球数を稼ぎたかった」
”無心”どころではない、次の泉に対する信頼は勿論、
チームの勝利に対する”執念”とも言えるこのプレイは
ジワジワと相手を追い詰めた。

近田は彼に潰されたのかも知れない、7回大事な場面で
ラストバッターに四球、しかもこの日3度目。
体力の消耗より、精神的に追い詰められたのだろう。
この直後コントロールの甘いストレートを
泉にタイムリ−打されたのだから。


室戸横川監督が述べているように「陰のヒーロー」である。
超美技の陰にはこういう選手が必ず居る。
正に野球は9人でやる物という言葉がピッタリである。

そして、この勝利にもう一人”陰のヒーロー?”が居る。
報徳捕手糸井である。

彼のリードが如何にまずい物であったか、
彼の”慢心”のリードが無ければ室戸高校の勝利は無かった。


室戸先頭打者泉はアウトコースースライダーに全く合わない。
1打席目それを空振りの後、インコース直球を空振り三振。
2打席目同じく外を空振り、インコース直球を内野ゴロ。

お解かりだろうか、インコース直球は当てているのだ。
問題の7回表3打席目、初球外のスライダーを見逃された、
何故タイミングの合わない外のスライダーを続けなかったのか?
彼のスタンスを見れば只でさえ外は弱いのが解る。

中に直球、北岡に四球を与えコントロールの甘くなっている
近田にこれ程危ない球は無い。
”慢心”が招いた型通りのリード。
もし、あの場面外に直球でもいいから投げ通しておれば
泉のタイムリーは無かったように思う。

インコースで討ち取ったと言う過去の事実は過去の物でしかない。

さて”無心”で戦ってきた室校ナイン、
勝利を手にして欲が出来た。
2回戦の相手は宇部商、一見勝てなくも無い相手に見える。
そこに油断、慢心が生まれるのが常である。

応援団(私も含めて)には既に”慢心”が見えてきた、
選手達が”自信”として戦うには余りにも若く、
又技術も未熟である。

たとえば中山の超美技は、有ってはならないプレイ
一点差の最終回、”トップバッターを2塁に進めてはならない”
これは鉄則である。
外野は頭を越されないように守備位置を取るのが普通。
まして報徳打者は、その前に安打している左打者
前田である、当然ライト中山は深く守備しなければならない。
頭を越されるのはフェンスを越える打球だけ。
(これはFD戦で何度も述べた)

結果、頭を越され超美技となった。

しっかりとした野球技術が身についておれば、
何でもないライトフライで終っていた筈である。

選手の心に芽生え始めた”慢心”を如何に横川監督が戒めるか、
次の戦いはそれに注目する楽しみな試合となろう。

室戸高校の実力は甲子園で勝ち続ける程の物ではない。
それを忘れてはいけない。


ところで、同じ高知新聞に見開きでアイランドリーグ開幕
の宣伝広告が掲載されていた。
新FDナインが写真入りで大きく紹介されていたが、
何も訴えてくる物が無かった。

地元選手のいない事がこれ程つまらないと感じたのは
あながち室戸高校の劇的勝利と並んだせい
だけでは無いように思われる。



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posted by T−Rex at 10:33| Comment(5) | 観戦記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
手厳しいコメントですね(笑)

でも、室戸高校の伝統は始まったばかり。
ここからの甲子園での戦いから夏の県大会で
しっかりとした結果を残していく事が
真の伝統となり、後に引き継がれていくものに
なっていくのでしょうから、本当に
「勝って兜の緒を締めよ」です。

横川監督の「うちは32校中32番目」という
気持ちが持続できる限り、次戦も良い試合が
観られることになるでしょうね。
期待は膨らむばかりです。
Posted by いぢこ味 at 2007年03月27日 11:29
室戸高校の場合、宿毛高校の時と同じく一時的な
物だと思っています。
片田舎が幾ら頑張っても甲子園での勝利は続かないでしょう。
オラが村意識では限度があります。
勝利は素直に喜びますが、高知県全体の事を考えると
この勝利はマイナス要素になるでしょう。

伊野商の時のコーチをしていた横川監督と森沢君は
”無心”が続くでしょうが、他の選手はどうなのか?
学園のようになるのを懸念しています。
Posted by T−Rex at 2007年03月27日 14:02
報徳戦の次の日、ニュースでナインの顔を見ましたが、まぁ緩みっ放しでしたねぇ。私もT-Rexさんのご指摘に同感です。選手たちが勘違いしていなければいいんですが。
一方、宇部商は強いですよ。どうしても自分が見ていた頃の甲子園ってのは同世代の池田からPLの記憶になっちゃうんですが、非常に印象深い戦いをしてましたもん。あのときの宇部のPは誰っていいましたかね。もちろん選手は違うけれど、伝統は受け継いでいるわけでしょ。
Posted by sports-oyaji at 2007年03月29日 06:21
よかった〜
こっちの心配していたことが杞憂に終わってホントによかった。
9回表に突き放してから、ゲームセットまでは本当に涙が出そうでした。
横川監督や周りのスタッフが、選手を本当に大事に指導なさって、選手たちがそれに見事に答えてるような気がします。
準々決勝の相手熊工も相当な強豪ですが、やってくれそうな気がしてきました。
Posted by sports-oyaji at 2007年03月29日 19:27
いや、本当に良かったですね。
次は何も言わず応援するのみですね。
Posted by T-Rex at 2007年03月29日 21:46
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